40センチ



「んじゃ、バイバイ」


校門を出て、確か家が逆方向にある広沼に声をかけた。


そして、去ろうとした時…



パシッ、と腕を掴まれた。


「何言ってんだよ?俺もこっちだから」


そう言って広沼は横に並んで歩き出した。



え……?

だって広沼は逆方向なはずじゃ…。


もしかして引っ越したとか?

んー…、でも昨日あっちに帰るの見たし…。



……………まさか。

言い方は少しぶっきらぼうだけど、広沼なりの優しさなのかな。


そう思うと、顔が熱くなるのがわかった。



「広沼、ありがと」


「…いきなりなんだよ」


「箱の件とか…、とにかくいろいろ!」


広沼は、ふーんと一言だけ言うと黙ってしまった。



気になって顔を覗きこむと、


「ちけぇーよ」


と、軽く頭をどつかれた。



なんかね?この気持ち、

わかった気がするよ。



あの夢は本当かもしれない。




きっと心の自分は一番早く、

アイツのことに気が付いていたのかもね。


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