40センチ
「ここ、家」
あっと言う間に着いてしまった自分の家。
「また明日な」
広沼はそう言って、早く家入れよとせかした。
そしてガチャン、と家のドアをしめた。
しばらくして、ドアを開けて外を見てみる。
来た道を戻っていく広沼の後ろ姿。
やっぱり…………。
そんな姿を見ていると、心が熱くなった。
たった1日でも、きっと。
“好き”が重なれば大きくなるんだよ。
私は近くにあったサンダルをはいて走りだした。
すごく走りくいけど…。
そんなのどうでもいい。
「広沼っ!」
大きな声で呼ぶと、肩を少しビクつかせて振り向いた。
「ちょ…お前………」
「ありがと!」
「だから、それはさっき聞い…」
広沼が喋ってるとかお構いなしで、私は口を開く。
「……広沼は!…広沼は優しいからっ!」
私が思いっきり伝えると、広沼ははにかんで、
「おう」
一言だけ言うと、背を向けて帰って行った。
-おわり-
.