40センチ
「顔がイケメンで、優しくて、背が高い…だっけ?」
笑いをこらえながら言う広沼に私はイライラする。
もう笑えばいいじゃない。
我慢されるのって余計ムカつく。
「周りからはそう見えてるんだー」
「周りからは、って…。実際そーじゃん」
うーん、と広沼は首を傾げると、
「じゃあさ、今の俺は優しい?」
「………は?」
何言ってるのコイツ。
「だーかーらー、今有坂さんと話してる俺は優しいかって」
「え、いや…別に普通だと思うけど…」
へえ…そっか、と広沼は一言だけ言うと、
「普通なんだよ、俺。全然優しくなんかない。…ほら、人と接する時の愛想っつーの?常識をしてるだけ」
「だから、優しいね。なんて言われても全然うれしくねぇし…逆に心ん中では、うぜーブスくらい思ってんの」
ハハッと苦笑いをする広沼に私は驚いた。
広沼ってあんま感情出さないじゃん?
こんな顔したのも、
こんな言葉聞いたのも…
初めてな気がする。
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