40センチ
「七恵、まじウケる!」
昼休みに友達の裕子が笑いながら言う。
「だって、それはアイツがっ…!」
「アイツ?」
あっ…しまった…。
広沼のこと、なんて言ったら絶対問い詰められる!
あれでもモテるからなー、広沼は。
一言喋っただけでも、女子が血相を変えて聞いてくるんだよ。
広沼くんとどんな関係なんだーって。
考えるだけでも恐ろしい…。
「あの……ア…ツイ…ね?」
ニコニコごまかそうと微笑むと、頭をベチッと叩かれた。
「有坂!」
急に名前が呼ばれて振り返ると、担任。
「はい…?」
「お前、朝頼んでおいた箱は取ってきたのか?」
………………忘れてた!
「し…身長が低いので取れません…」
「イスに乗ってもか?」
………イス…?
そうか!イスに乗れば取れたのか!
「いっいってきます!!!」
私は勢いよく教室を飛び出した。
イスに乗るなんて考えもしなかった!
…ってゆーか、教室にいる私にわざわざ言いにくるんだったら
自分で取りにいけばいいのに。
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