40センチ



「授業ん時も今も、声に出過ぎでしょ。…なんだよ、天使って」


ブハッとまた笑う広沼に一発殴ってやろうと手を出した時、



パシッとその手は簡単に掴まれてしまった。



「俺を殴るなんて100年はぇーよ。ほら、箱取ってやるから待ってろ」


広沼は私の頭を乱暴に撫でると、ニッと笑いイスをどけて箱を楽々取ってしまった。





…………な…なに…今の。

心臓がドキドキ鳴って息が苦しい。



ん、と広沼は箱を私に差し出す。



「あ…ありがと…」


「いーえ、どういたしまして」



なんで…、なんでだろう。

さっきまでは平気だったのに…。

今は緊張で、のどがカラカラだ。




「ん?顔赤いけど…どうかした?」


「なっなんでもない!!」


「もしかして、俺に惚れちゃった?」


広沼は意地悪そうに笑った。




「…っ!そんなわけないじゃん!!」


違う、違う!!!

さっきは一瞬ときめいただけで、絶対好きなんかじゃないんだから!



そう自分に言い聞かせて、箱を片手に職員室に向かった。


.
< 6 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop