40センチ



まだドキドキと鳴りやまない心臓を、なんとか抑えようとした。



職員室のドアを開けると、担任がちらっとこっちを見る。



「やっと来たか!」


ニヤニヤと笑う担任に少し苛立つ。



私が箱をとるだけでどんな思いをしたか…。

そんなことを考えると、担任の呑気さにさらにイライラした。



「お前、イスにのった取れたのか?」


「…!そんな身長低くありませんっ!」



ほんと嫌味な担任…!


ケラケラと笑う担任に背を向けて職員室を出た。



教室に戻ると、広沼が席に座っているのが見えた。



って………、


広沼なんかどーでもいいっつーの!


広沼を一番に探してしまった自分が嫌。


モヤモヤと薄気味悪い感情の中、私は席について次のチャイムを待った。



予鈴がなって、少しした時。


一瞬、広沼がこっちを向いた。




ドキッ―――…


さっきのドキドキが蘇る。



なんなの……本当に。


そして本鈴が鳴り、大嫌いな数学の授業が始まった。


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