40センチ



はっと目を覚ますと、静かな教室にいた。



「やっと起きた?」


誰もいないと思っていた教室に声が響く。





「…………広沼」


「皆、気を使って帰っちゃったよ?」


そう言って意地悪そうな顔で笑う広沼。



辺りを見回しても、本当に2人だけ。


……ってことは、今2人っきり!?



「何考えてんの」


また声が響いたと思うと、広沼がこちらに近寄ってくる。


それと同時に私の心臓もドキドキと脈をうつ。


今にも聞こえそうな心臓の音を隠すかのように、私は言葉を出した。


「ひ…広沼こそ…何してんのよ!?」


「ん、俺?」


少し間があくと、広沼は“日直”と答えた。



あれ、広沼って今日日直だったっけ…?


「てか、そろそろ学校でねーとまずくね」


そーいえば、私は何時間寝てたんだろう。

外は結構日が沈んで少し暗い。



「そうだね」


そう言ってかばんを持つと、2人で教室を出た。


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