想い
その子は私の前まで来ると目に涙をいっぱいためながら「美咲…」と消えそうな声でつぶやいた。







あぁ。この子もまた、そうなんだ。そう思った。








「会いたかった。」そう言って私を抱きしめる男の子。また、“私”が“私”じゃなくなる。










「美咲。」と呼ばれるたびに私の心は崩壊していくようだった。








「やべぇ…嬉しすぎて。ハハッ。情けねぇな。」





そう言って笑う男の子を私は写真で見たことがある。
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