ハロウィンの夜の精霊のお仕事
「きゃっ、いたい」
どうやら、何かが彼女の髪の毛を引っ張ったようです。
「あ、ごめんなさい」
そうくぐもった声で呟いたのは、カボチャの被り物を被った男の子でした。
どうやら、彼のお尻から伸びた先の尖った尻尾が、彼女の髪に引っかかったらしいのです。
「ちょっと動かないで」
彼はそう言うと、黒い手をゴソゴソと動かして髪の毛を自分の尻尾から離そうといじり出しました。
ところが彼もがけばもがくほど、少女の髪は絡まって、おまけにその手から落ちる煤(スス)で彼女の白い妖精の衣装に黒い染みができてゆきます。
マズイ状況です。