家族の事情
謙一は思っていた。

2年2組で自分が今置かれている状況を。

そして明後日から始まる期末試験の後、自分を取り巻く環境の変化を。



一昨年まで、謙一は地元の公立中学で文字通りスターだった。

成績は常に学年トップ、生徒会に所属し、教師からの信頼も厚かった。

運動会では必ずリレーのアンカーに選ばれ、クラス対抗の演劇祭では監督・脚本・主演を努め、クラスを優勝に導いた。

クラス発表で謙一と同じクラスだとわかった瞬間、ガッツポーズをとる生徒も1人や2人ではなかった。



今でもはっきりと思い出せる。

かつて自分を取り巻いていた人たちが、自分に対して向けたあの眼差し。

尊敬、畏怖、信頼、羨望。
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