あまい檻−キミ、飼育中。−
私は毎日ドキドキしている。
でも、ジンは?
ジンは変わったところもなく、いつも通り。
キスしてからも、いつも通り。
“ご主人サマ”だから?
“ペット”だから?
最初に“ご主人サマとペット”のカンケイを言い出したのは、私。
今さら、「スキ」だなんて言えるわけがない。
……言えるわけない。
ジンを見つめれば、心地よさそうに瞳を閉じたまま。
一度、自分の気持ちに気づいてしまうと、ジンに対する感情は途切れる事なく流れだす。
……私、やっぱり変態かもしれない。
だって、今思ってるから。
……キスしたいなぁって。
キス……口づけ………接吻…………。
あぁっ!ピンクな妄想!
どっか行けーーっ!!
私の心に囁く天使と悪魔。
天使は言った。
『ダメよ!ツバサ!
勝手にキスなんてして、ジンにドン引きされて「うぁ…変態…。」なんて思われたらどうするの!?』
うっ……。それは立ち直れない…。
悪魔は言った。
『いいじゃねぇか!キスなんか減るモンじゃねぇんだ!欲望に素直になっちまえよ!』
減るモンじゃない……よ、欲望……。
私の内側で繰り広げられる戦い。
ど、どうしよう!
ドン引きされんのはヤダ!
でも…でも、キス……したい。