あまい檻−キミ、飼育中。−





コンビニから外へ出ると、どしゃ降りの雨が降っていた。




さっきまで、空には星が煌めいていたのに、もう見えない。







カップラーメンとサラダ、好物の牛乳プリンが入った袋を持ったまま、私は立ち尽くしていた。


マンションまでは、歩いて5分。




……まったく、今日はマジでツイてない。






仕方なく、私は雨の中を走りだす。







コンビニからマンションまで続く桜並木の下。



雨は白い花を濡らす。


私を濡らす。




点々と地面に落ちた花びらを踏みつける。


制服は、もうすでにビショビショで、前髪は鬱陶しく額に張りついていた。




染めたばかりのピンクブラウンの髪、ふわふわのウェーブがかかったパーマ………これじゃ、台無しだ。








シャッターが下りたカフェの軒先に、堪らず私は飛び込む。




まったく、冗談じゃない!!




溜め息を吐き出し、空を見上げる。


止むことを知らないかのように、雨は降り続く。







………最悪。






私は、今日の放課後の出来事を思い出して、目を閉じた。






< 3 / 235 >

この作品をシェア

pagetop