あまい檻−キミ、飼育中。−
コンビニから外へ出ると、どしゃ降りの雨が降っていた。
さっきまで、空には星が煌めいていたのに、もう見えない。
カップラーメンとサラダ、好物の牛乳プリンが入った袋を持ったまま、私は立ち尽くしていた。
マンションまでは、歩いて5分。
……まったく、今日はマジでツイてない。
仕方なく、私は雨の中を走りだす。
コンビニからマンションまで続く桜並木の下。
雨は白い花を濡らす。
私を濡らす。
点々と地面に落ちた花びらを踏みつける。
制服は、もうすでにビショビショで、前髪は鬱陶しく額に張りついていた。
染めたばかりのピンクブラウンの髪、ふわふわのウェーブがかかったパーマ………これじゃ、台無しだ。
シャッターが下りたカフェの軒先に、堪らず私は飛び込む。
まったく、冗談じゃない!!
溜め息を吐き出し、空を見上げる。
止むことを知らないかのように、雨は降り続く。
………最悪。
私は、今日の放課後の出来事を思い出して、目を閉じた。