あまい檻−キミ、飼育中。−
……それとも、始めから全て嘘だったのだろうか。
ペットになるなんて、始めから……。
私がバカみたいに真に受けていただけ?
そう、
考えてみれば私は何も知らないのだ。
彼のことを。
ジンと一緒にいたのは、たったの1日なのに。
こんなに、寂しいなんて………。
こんな事になるなら、最初から一人ぼっちの方がよかったよ。
こんな事になるなら……朝、もっとちゃんとホメてあげるんだった。
もう、私を包むゴミもない。
広すぎる部屋は、残酷なだけだった。
私は、もう一度、時計を見つめる。
……それとも、迷子にでもなってる?
それは、期待というか、希望だったけど。
そんな見えない可能性くらいしか、縋るものがなくて。
私は、後先も考えず部屋を飛び出した。