あまい檻−キミ、飼育中。−
それは、空を見上げて微笑む男の横顔で。
黒目がちな瞳、美形……というより綺麗とさえ思ってしまう顔立ち。
透けたシャツ、その向こうの素肌。
スタイルが良くて細いのに、筋肉質な………って!!
何考えてんの!?私!?
これじゃ、まるで変態みたいじゃん!!?
私の視線に気づいた男と目が合う。
男は、そのまま私に笑顔を向けた。
愛嬌いっぱいの笑顔、えくぼ。
私は目を逸らす。
胸の奥がぎゅっとなった気がした。
「さっきまで、星が見えていたのに。」
「えっ?」
男はまた空を見上げて、それから微笑む。
「忙しすぎて気づかなかった。東京でも星は見えるんですね。」
「そ、うですね。」
うまく言葉にならない、
私はどういう訳か酷く動揺していた。
これ以上、ここにいたらイケナイ。
「……じゃあ…私、お先に失礼します。」
それだけ言って私は軽く会釈をすると、再び雨の中へ飛び込んだ。