御退散
屋敷に戻ると藤原保昌(やすまさ)が出迎えた。この保昌、幼い時から頼光に仕えており、15歳にしてリクトウ三略の本などを読み兵法に長けていた。おまけに負けず嫌いでもある。ちなみに頼光は25歳だから10歳下である。

屋敷の一室の上座に頼光、下座に綱、金時、季武の3人と頼光の近くに保昌が座っている。


保昌:この度は帝より宣旨をいただかれましたようで・・・

頼光:うむ。

保昌:・・・。お願いがございます。

頼光:分かっておる。今回の討伐隊に加えろと言うのであろう

保昌:はい・・・

頼光:今回はその方には留守居役を勤めてもらう

保昌:そんな・・・お願いでございますっ!!保昌をどうか連れて行って下さいっ!!

頼光:ならぬ。よいか!?保昌。今回の留守居は、ただオレの屋敷を守ればいいというわけではない。オレの留守中に、この京を守ってほしいのだ。コレは一人ではムリだ。部隊を使いこなせて、かつオレが信頼しているヤツでないといかん。お前の他にオレが最も信頼できるヤツがおると思うか!?


保昌が口をとがらせながら、首を横にふる。


頼光:そうじゃ。その方以外にはおらぬ。その方には父から借りた武士団20人と朝廷軍50人ほどをいつでも動かせるように手配しておく。それと季光(すえみつ)を置いていく。


季光とは頼光が父から与えられた忍である。が、今回は帝から別の忍を与えられたため、保昌につけようと言うのである。
< 4 / 31 >

この作品をシェア

pagetop