時雨の奏でるレクイエム
中立都市ウェナベル
街にはちらほらと獣や人の姿が見える。
それは全て幻獣だ。
街の広場には荘厳な噴水があり、ベンチにちらほらとカップルが座っているのが見える。
「あ、ダフネ!こんな所で寝ていてはいけませんよ!」
突然テオが噴水の方へ駆け出した。
意表をつかれた二人は追うことも出来ず、テオが駆け出した先へ視線を向けた。
テオが抱き上げたのはまだ10にも満たないような子供だった。
くすんだ亜麻色の髪は波打ち、背よりも長く伸びている。
幼く眠った姿は男の子にも女の子にも見える。
髪には藍色の幻獣詞が浮き出ていた。
「ダフネ?……もしかして闇に属する幻獣?」
「ああ。末端だがな。眠りを司る幻獣で、フェアルーンの生物が眠っている間はなにがあっても起きないそうだ。だから、自然消滅自然発生が一番多い幻獣でもある」
「詳しいね。私は光に属する幻獣と闇でもわずかしか知らない」
「預言は……神子か巫女になるから、長く記憶している」
「ああ、そうか。今は誰が代理巫女なんだろ」
「おそらく夢だろうな。夢は蒼だったから」
「夢かぁ。ミオおばさんかな」
「おそらく代替わりしているだろう。前の記憶ではミオは既にフェアルーンに降りてたから」
テオがダフネを抱えたまま戻ってきた。
ダフネはすやすやと眠ったままときどき身じろぎしている。
「すみません。彼を家に連れ帰ってからでもよろしいでしょうか?」
すまなさそうにテオが聞いた。
ラディウスは構わない、というように頷いた。
クルーエルはそもそも聞いてなく、ダフネの頬に指をそっと近づけていた。
「あ、やわらかい」
それは全て幻獣だ。
街の広場には荘厳な噴水があり、ベンチにちらほらとカップルが座っているのが見える。
「あ、ダフネ!こんな所で寝ていてはいけませんよ!」
突然テオが噴水の方へ駆け出した。
意表をつかれた二人は追うことも出来ず、テオが駆け出した先へ視線を向けた。
テオが抱き上げたのはまだ10にも満たないような子供だった。
くすんだ亜麻色の髪は波打ち、背よりも長く伸びている。
幼く眠った姿は男の子にも女の子にも見える。
髪には藍色の幻獣詞が浮き出ていた。
「ダフネ?……もしかして闇に属する幻獣?」
「ああ。末端だがな。眠りを司る幻獣で、フェアルーンの生物が眠っている間はなにがあっても起きないそうだ。だから、自然消滅自然発生が一番多い幻獣でもある」
「詳しいね。私は光に属する幻獣と闇でもわずかしか知らない」
「預言は……神子か巫女になるから、長く記憶している」
「ああ、そうか。今は誰が代理巫女なんだろ」
「おそらく夢だろうな。夢は蒼だったから」
「夢かぁ。ミオおばさんかな」
「おそらく代替わりしているだろう。前の記憶ではミオは既にフェアルーンに降りてたから」
テオがダフネを抱えたまま戻ってきた。
ダフネはすやすやと眠ったままときどき身じろぎしている。
「すみません。彼を家に連れ帰ってからでもよろしいでしょうか?」
すまなさそうにテオが聞いた。
ラディウスは構わない、というように頷いた。
クルーエルはそもそも聞いてなく、ダフネの頬に指をそっと近づけていた。
「あ、やわらかい」