時雨の奏でるレクイエム
「誰?」
クルーエルは首をかしげてラディウスに尋ねた。
「俺の魔法の先生……肩書きはリズナード神殿の上級神官、だったはずなんだが」
リズナード、その言葉を聞いたとき、クルーエルはぎくりと身を震わせた。
クルーエルにとってその名前は禁忌に等しかった。
ラディウスはいぶかしげな顔をして、口を開いた。
しかしその言葉は他の言葉によってさえぎられてしまった。
「殿下、ついに幻獣になられたのですね。おめでとうございます」
見ると、ソフィア、と呼ばれた女性が深々と頭を下げていた。
「えーと、そちらは……あ、姫様ですね。お帰りなさいませ」
「え?あ……姫様、って私のことだよね?ただいま……で合ってるのかな」
少しはにかみながらクルーエルが応えた。
姫様と呼ばれるのは少しくすぐったいような感じがする。
「ソフィアさん、どうしてここに?」
「どうしてもなにも、私は元から幻獣ですわ。前の預言獣が、リズナード様が今度はフェアルーンに降りてくると言われましたから。お守りするために私も下りたのです」
「ん……確かに、そんなことを言った覚えがあるな。50年くらい前だったか?」
「ええ。神を守るために下りてきたのが、何故か預言獣を宿した殿下の子守りをすることになってしまいましたが」
「子守りって……」
えー、と腑に落ちない顔でラディウスは呟いた。
クルーエルは首をかしげてラディウスに尋ねた。
「俺の魔法の先生……肩書きはリズナード神殿の上級神官、だったはずなんだが」
リズナード、その言葉を聞いたとき、クルーエルはぎくりと身を震わせた。
クルーエルにとってその名前は禁忌に等しかった。
ラディウスはいぶかしげな顔をして、口を開いた。
しかしその言葉は他の言葉によってさえぎられてしまった。
「殿下、ついに幻獣になられたのですね。おめでとうございます」
見ると、ソフィア、と呼ばれた女性が深々と頭を下げていた。
「えーと、そちらは……あ、姫様ですね。お帰りなさいませ」
「え?あ……姫様、って私のことだよね?ただいま……で合ってるのかな」
少しはにかみながらクルーエルが応えた。
姫様と呼ばれるのは少しくすぐったいような感じがする。
「ソフィアさん、どうしてここに?」
「どうしてもなにも、私は元から幻獣ですわ。前の預言獣が、リズナード様が今度はフェアルーンに降りてくると言われましたから。お守りするために私も下りたのです」
「ん……確かに、そんなことを言った覚えがあるな。50年くらい前だったか?」
「ええ。神を守るために下りてきたのが、何故か預言獣を宿した殿下の子守りをすることになってしまいましたが」
「子守りって……」
えー、と腑に落ちない顔でラディウスは呟いた。