時雨の奏でるレクイエム
焼けた街ハーヴェスト
幻獣。
それは、この世界の全てを司る存在。
幻獣に認められた者のみ、それを召喚することができる。
ただし、1体だけ。
例えば、氷の性質を持った人間は、氷を司る幻獣ラビィニアに認められることでしか、呼び出せない。
クルーエルという少女は、結界を司る幻獣エデンに認められ、結界を召喚することができる。


例外はもちろんある。
ごく稀に、生まれたその時から幻獣に愛され、その身に幻獣を宿す者がいる。
その者は、召喚術こそ使えないが、その性質を持った、魔法を使うことができる。
ラディウスという少年は、予言を司る幻獣リリスに愛され、過去、現在、未来全てを知ることができる。


両者の違いは、明白。
前者は、本人の意思で、自身や他人を守ることも、攻撃することもできる。
後者は、幻獣の意志で、自らを身に宿す者と、その者が望んだ者を守ることができる。
それは、召喚術とは比べ物にならないほどの威力を持っている。


それが真実かどうかはともかく、世間一般では、そういう風に伝えられている。
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