時雨の奏でるレクイエム
門をくぐると、帝国兵と思われる男が二人いた。
おそらく、門番だろう。
ラディウスはそのうち一人に詰め寄った。

「なぜ、俺達を招き入れた」

「そうすべきと伝達が届いたからです」

帝国兵は顔色を変えず、淡々と応える。

「誰からだ」

「ここの管理をしている、サルク将軍です」

「会わせろ」

「ご要望にはお応えできかねます」

「なにか、裏があるように思えるんだが?」

「貴殿等は反対側の門を通る権利を将軍に与えられました。それだけです」

「こんな難航不落と呼ばれた砦が簡単に旅人を通すものなのか?」

ラディウスは信用できない、と帝国兵になおも喰いかかった。
クルーエルは、通れるんだから素直に通ればいいのにと思った。
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