時雨の奏でるレクイエム
クルーエルは少し貧しいが、優しくて歳のはなれた兄と二人で幸せに暮らしていた。
両親はクルーエルが生まれてからすぐに死んだ。
学校には行けなかったが、文字の読み方や書き方、計算やお祈りの仕方は全て兄から教わった。
クルーエルは幸せだった。きっといつまでもこの穏やかな日が続いていくんだろうと漠然と思っていた。
街が侵略され、目の前で兄が死んだ、そのときまで。
それは突然、おこったことだった。
平和な街ハーヴェストに帝国軍が侵攻してきたのだ。
クルーエルは兄、ノインに手をひかれて裏道を縫うように走りつづけた。
大通りは既に火の海だ。
遠回りになっても逃げるには裏道を通るしかない。
だけど、クルーエルは知らなかった。
裏道も、常に危険であることに。
両親はクルーエルが生まれてからすぐに死んだ。
学校には行けなかったが、文字の読み方や書き方、計算やお祈りの仕方は全て兄から教わった。
クルーエルは幸せだった。きっといつまでもこの穏やかな日が続いていくんだろうと漠然と思っていた。
街が侵略され、目の前で兄が死んだ、そのときまで。
それは突然、おこったことだった。
平和な街ハーヴェストに帝国軍が侵攻してきたのだ。
クルーエルは兄、ノインに手をひかれて裏道を縫うように走りつづけた。
大通りは既に火の海だ。
遠回りになっても逃げるには裏道を通るしかない。
だけど、クルーエルは知らなかった。
裏道も、常に危険であることに。