時雨の奏でるレクイエム
「つまり、なんとしてでも、兄さまが闇の幻獣王を呼び出させるのをとめなければいけない」

「そういうことじゃ。だが、呼びだす方法はないこともない。たしか、二人は光の幻獣王を探しているんだったかの」

「そうだよ」

「でも、幻獣界にいるんだろう?」

「ひとつだけ、二人なら幻獣界にいける入り口が王国にあるのじゃ」

「二人、なら?」

「どういうことだ?」

すっと、指揮棒を振るようにアルミナが人差し指を振った。
ざざ、と空間にノイズが走り映像がでてきた。
その映像は、

「ファスティアナ城?」

「え?私?」

「ああ、王国の城の名前は光の幻獣王からとってるからな」

「そう、なんだ……」

「さて、続きを話すぞよ。この城の奥に、幻獣界へとつながるゲートがあるのじゃ。ここを通れるのは幻獣と、幻獣憑き、つまり次期幻獣のみ、じゃの」

「そんな、ものが、ファスティアナ城に……」

「わ、たし、知ってる。お兄ちゃんはここを通ってフェアルーンに来たんだ……」

「一つ、気をつけるが良いぞ。幻獣界には人は存在できぬ。ラディウスは人の形を一時的にとはいえ、失うじゃろう。クルーエルの場合……強制連結、することになるかの」

「強制連結?」

「なんじゃ、それも知らぬのか。簡単に言ってしまえば、強制的に幻獣になってしまうということかの」

「実際はそんなに簡単じゃないんだけどね……」

< 53 / 129 >

この作品をシェア

pagetop