時雨の奏でるレクイエム
力の解放が始まった。
ザルクは姿を大型犬ほどの大きさの純白の猫に姿を変え、力を洞窟の隅々まで行き渡らせた。
ラディウスはリリスの魔力を変換し、幻獣を捕らえている結界の魔力に組み込む。
クルーエルはノインの魂と一つになっていくのを感じながら、歌い続けた。
歌は魔法となり、ザルクとラディウスの魔力を強化していく。
アルミナは見通す瞳でもって、力が均等に分配されるように3人の魔力を操る。
ぴしり、と水晶にひびが入った。
それを確認して、ラディウスは幻界詞を唱えた。
『この世の禍はここにある。約束の唄もここにある。囚われ泣くモノへ。全てを無に変え散り逝くモノへ――疾く疾く疾く疾く……疾く砕けよ!』
その瞬間、幻獣を捕らえていた全ての水晶が砕けた。
魔力の輝きと、砕け散った水晶の輝きが交じり合って七色に光る。
それも巻き起こる歓喜の風に吹き飛ばされて見えなくなった。
開放された幻獣はラディウスやクルーエルに祝福の言葉をかけながら還っていく。
アルミナは身体に光を湛えてさめざめと泣いている。幻獣たちは、そんなアルミナに優しい言葉をかけて、アルミナの髪を優しく撫でていった。
ザルクは解放されたリディアと手を取り合って、優しく微笑みながら還っていった。
光と歓喜の放流が終わり、3人の前には一人の高貴な感じの幻獣だけが残った。
幻獣は人へと姿を変え、クルーエルの頬を撫でた。
「ノイン。そして私の新しい娘、クルーエル」
「えっ……」
「まさか、幻獣妃……姉様?」
「リリス。新しい、私の弟、ラディウス。そして」
幻獣はアルミナに向き直った。
「幻魔の一族最後の子供、女帝アルミナ。私の名前はシルメリア。幻獣王の妃よ」
シルメリア、と名乗った幻獣は優雅に礼をすると微笑んだ。
「私達を救ってくれてありがとう。私の転生はまだまだ先でしたが、ここに召喚されたとき、捕らわれてしまいました」
「幻獣妃シルメリア……」
「嫌だわ、リリス。姉様と呼んでちょうだい」
「姉……様」
戸惑いながらラディウスが呼ぶと、シルメリアは満足そうに微笑んだ。
ザルクは姿を大型犬ほどの大きさの純白の猫に姿を変え、力を洞窟の隅々まで行き渡らせた。
ラディウスはリリスの魔力を変換し、幻獣を捕らえている結界の魔力に組み込む。
クルーエルはノインの魂と一つになっていくのを感じながら、歌い続けた。
歌は魔法となり、ザルクとラディウスの魔力を強化していく。
アルミナは見通す瞳でもって、力が均等に分配されるように3人の魔力を操る。
ぴしり、と水晶にひびが入った。
それを確認して、ラディウスは幻界詞を唱えた。
『この世の禍はここにある。約束の唄もここにある。囚われ泣くモノへ。全てを無に変え散り逝くモノへ――疾く疾く疾く疾く……疾く砕けよ!』
その瞬間、幻獣を捕らえていた全ての水晶が砕けた。
魔力の輝きと、砕け散った水晶の輝きが交じり合って七色に光る。
それも巻き起こる歓喜の風に吹き飛ばされて見えなくなった。
開放された幻獣はラディウスやクルーエルに祝福の言葉をかけながら還っていく。
アルミナは身体に光を湛えてさめざめと泣いている。幻獣たちは、そんなアルミナに優しい言葉をかけて、アルミナの髪を優しく撫でていった。
ザルクは解放されたリディアと手を取り合って、優しく微笑みながら還っていった。
光と歓喜の放流が終わり、3人の前には一人の高貴な感じの幻獣だけが残った。
幻獣は人へと姿を変え、クルーエルの頬を撫でた。
「ノイン。そして私の新しい娘、クルーエル」
「えっ……」
「まさか、幻獣妃……姉様?」
「リリス。新しい、私の弟、ラディウス。そして」
幻獣はアルミナに向き直った。
「幻魔の一族最後の子供、女帝アルミナ。私の名前はシルメリア。幻獣王の妃よ」
シルメリア、と名乗った幻獣は優雅に礼をすると微笑んだ。
「私達を救ってくれてありがとう。私の転生はまだまだ先でしたが、ここに召喚されたとき、捕らわれてしまいました」
「幻獣妃シルメリア……」
「嫌だわ、リリス。姉様と呼んでちょうだい」
「姉……様」
戸惑いながらラディウスが呼ぶと、シルメリアは満足そうに微笑んだ。