時雨の奏でるレクイエム
二人が下ろされたのは山だったらしい。
フェアルーンでは荒野と砂漠が多いから、山というのは初めて見るし、初めて降りる。
クルーエルは苦労して山を下り、ラディウスは慣れたようにひょいひょいと降りながら、たまにクルーエルを助ける。
ついに降りきり、クルーエルが深いため息をついた頃には既に太陽は空高く、昼になっていた。
二人が市壁の門にたどりついたとき、門番はこちらを見てぎくっと身を震わせ、まじまじとこちらを見ていた。
ラディウスは怪訝そうに眉をひそめ、クルーエルは門番に同情した。
「た、たた旅のお方ですか?」
「そうです」
クルーエルは、ラディウスが応える前に慌てて言った。
ラディウスは一瞬はっとして、ばつが悪そうな顔をした。
「今は国王が亡くなり、全ての国民が喪に服しています。滞在は少々……」
「え?できないの?」
「すみません。誰も入れるなとディラン国王に……」
あたふたと門番が言い訳をする。
ラディウスは「ディランか……」と呟き、門番に微笑みかけた。
門番はそれを見て顔を赤らめた。
クルーエルは可哀想にと胸のうちでだけ思い、謝っておいた。
次の瞬間、門番は気を失い、どさりと倒れた。
クルーエルは黙ってラディウスを見る。
ラディウスは機嫌良さそうに鞘に入れっぱなしの剣をまわしている。
ラディウスのストレス解消役になった門番にはお気の毒様。
やがてラディウスは剣をどこかへしまい(恐らく保管場所に送り還した)、「さて行くか」と呟き、クルーエルに笑いかけた。
クルーエルは苦笑を返した。
「うん、ルナ」
ついに、王都。
王都リムナンテス。
フェアルーンでは荒野と砂漠が多いから、山というのは初めて見るし、初めて降りる。
クルーエルは苦労して山を下り、ラディウスは慣れたようにひょいひょいと降りながら、たまにクルーエルを助ける。
ついに降りきり、クルーエルが深いため息をついた頃には既に太陽は空高く、昼になっていた。
二人が市壁の門にたどりついたとき、門番はこちらを見てぎくっと身を震わせ、まじまじとこちらを見ていた。
ラディウスは怪訝そうに眉をひそめ、クルーエルは門番に同情した。
「た、たた旅のお方ですか?」
「そうです」
クルーエルは、ラディウスが応える前に慌てて言った。
ラディウスは一瞬はっとして、ばつが悪そうな顔をした。
「今は国王が亡くなり、全ての国民が喪に服しています。滞在は少々……」
「え?できないの?」
「すみません。誰も入れるなとディラン国王に……」
あたふたと門番が言い訳をする。
ラディウスは「ディランか……」と呟き、門番に微笑みかけた。
門番はそれを見て顔を赤らめた。
クルーエルは可哀想にと胸のうちでだけ思い、謝っておいた。
次の瞬間、門番は気を失い、どさりと倒れた。
クルーエルは黙ってラディウスを見る。
ラディウスは機嫌良さそうに鞘に入れっぱなしの剣をまわしている。
ラディウスのストレス解消役になった門番にはお気の毒様。
やがてラディウスは剣をどこかへしまい(恐らく保管場所に送り還した)、「さて行くか」と呟き、クルーエルに笑いかけた。
クルーエルは苦笑を返した。
「うん、ルナ」
ついに、王都。
王都リムナンテス。