時雨の奏でるレクイエム
ラディウスという少年
ラディウスは双子の弟として生まれた。
将来は世継ぎの兄の補佐の宰相になるんだと思って、兄とともに勉強していた。
兄は、帝王学と、外交と、幻獣王の召喚術を学び、ラディウスは経済と王宮剣術を中心に様々な学問を修めた。


兄、ディランは優しく、正義感の強い人だった。
対してラディウスは、無垢で、残酷な人だった。

二人はとてもそっくりだったが、唯一瞳の色だけが違った。
兄、ディランは蒼。海のアオ。
弟、ラディウスは紅。紅蓮のアカ。


ラディウスは、兄を尊敬していた。
将来この人の下で一緒に国を治めていくことに誇りをもっていた。


しかし、そんな幻想は、ラディウスのみた夢によって砕かれた。
幻獣によって王国が滅ぼされる夢を。
ラディウスは心配になり、ディランにそのことを話した。
ディランは、国王である、父に相談すると言った。
ラディウスは、安心して、またいつもどおりの日常に戻っていった。


国王に内密に呼び出されたとき、ラディウスは、不安に駆られた。
なんとも言えない不安だ。
否……ラディウスの脳裏には、はっきりと、映っていた。
この国から追放されることが。




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