偽恋愛=ギレンアイ=
ねぇ洸。

あの時、どんな事を考えていたの??
ごめんね、いくら嘘でも異変に気付けなくて。

自分のことばっかりで。



本当に付き合ってないとしても、
嘘の恋人だとしても――

本当の親友なんだから、
親友なのは事実なんだから――


『…洸。どうしたの?』
「付き合ってたら登下校って一緒だろ?」
そういって洸は悲しそうに微笑む。
『…ぁぁ、うん。そうだよね』


登下校を一緒にあるくのが――
あたしの隣で笑ってくれるのが――
今、目の前にいるのが――



永良だと良いのに……。
『用意…してくるね』
「おう」
あたしは、早足で部屋に戻っていった。







バタン。



『ハァ、ハァ…ぅ。ヒック、グス』
足が震える。
涙が絶えない。

後悔してしまう。

足が竦む。



『ヒック…洸、ヒック…な…いて…グッス…た?』


洸、気付いてなかったみたいだけど、
洸の頬は濡れていたよ?


理由を聞けなくてごめん。
自分ばっかでごめん。





本当、ごめん。
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