キスからはじめよう
「大丈夫なんで」
涙をゴシゴシ拭いて男の手を振り払った。
早く帰って寝よう。
歩き出したのはいいけどふらふらする体。気持ち悪い…。
変な汗が滲み出た瞬間その場にしゃがみ込んでしまった。
『ほら、言わんこっちゃない』
あわてて近寄ってくる知らない男。
『乗って』
差し出された背中。
「…結構です、かまわないでください」
そう言うだけで精一杯なあたし。
『…よいしょ』
無理矢理あっさり抱き抱えられたあたし。
「ちょっ…」
『大人しくしてて』
そう言って男はあたしを車に押し込んだ。