ローレライ
砂浜にへたりこんだあたしの目もとを、歌い終わった彼は細くて長くて少し男らしい彼の指で、優しく拭ってくれた。
「ッゼンーあんたやることがいちいちきざすぎ」
「そう?」
「そうだよ!」
「……」
あたしがあまりにも必死に頷いてたから、二人で顔を見せ合って笑い合った。
ゼン、不思議だね…。あたしらさっきまで別々の世界で生きてたのに、今はこうして笑い合ってる。
こんなの「知り合い」なんていう関係なんかより脆いものなのに、確かに同じ場所に存在してる。
「神様があたしにくれたプレゼントかも」
「何?」