カモミールに恋して
夏花side



あ…行っちゃった…

もうちょっとだけ 声を聞いていたかったな


お兄ちゃんとは違う…



優しくて穏やかで 甘い声



連夜くんと触れた右手が

あつく感じた


それに あの輝くような笑顔

まるで 夏に輝く




向日葵 みたいだった―――





あたしは初めて

お兄ちゃん以外の男の人の前で

笑顔を見せた


だって 連夜くんは もう

あたしの中にいたから……


でもそれは 恋愛感情とは違う気持ちだった


そんな余韻に浸っていると

お兄ちゃんがニタニタ笑いながら言った



「連夜は 彼女いないよ〜〜」




お兄ちゃんは家に帰ると

消毒液をたっぷりつけた


どうしてかは 言うまでもない


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