放課後姫とヤンチャな騎士
放課後になり、剛志は足早に部室に向かった。


扉の前で深呼吸をしてからノブに手をかけた。


「…えっ?」


軽く動くと思っていたはずのノブは、ガチャガチャと音を立てても動かなかった。


剛志は鞄の中の合い鍵を取り出したが、思い直して鞄に戻した。


クルリと向きを変えて、剛志は乃里子の教室に向かった。


「乃里子…いるかな?」


放課後なのに騒がしい教室で、扉の近くにいた女生徒に声をかけた。


「あっ…はい!」


緊張した表情で、女生徒は奥へと消えた。


「剛志じゃない?
どうしたの?」


反対側の扉から、未来が顔を出した。
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