放課後姫とヤンチャな騎士
「…ごめん…」


剛志は微かな声で呟いて俯いた。


梓はカウンターを出ると、剛志が倒した椅子を戻して剛志を座らせた。


「…そうだよね。
自分勝手だった、私達、今までもあの時も…
ごめんね…剛志。」


梓はそう言うと、抱えるようにして剛志を抱きしめた。


静かな店内は、より一層静けさに包まれていった。



…−−−…



「良いの?
このままで…」


「…分からない。」


夕陽が濃くなった教室には、二人の影だけが伸びている。


「このままで良いわけないよね?」


「…うん。」


応える声はどんどん小さくなる。


「…どうしたもんかなぁ…」


ため息混じりの声は、静けさに吸い込まれていった。



…−−−…
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