放課後姫とヤンチャな騎士
というのも、少し前に一部の生徒達が『放課後姫』探しに躍起になり、乃里子は全く動けなくなったからだった。


学生は心理的にまわりの影響を受けやすい。


だから、都市伝説のように『放課後姫』の噂を流せば、生徒達は信じて近付かなくなる。


乃里子はそんな心理を、上手く利用したのだ。


温室を抜けると、中庭より一回り小さなスペースが現れた。


可愛いベンチと、よく手入れされた花壇。


乃里子はベンチに座ると、ゆっくり目を閉じた。


風がサワサワと駆け抜けていく。


乃里子はゆっくりと目を開けて微笑んだ。


「悩める少女、私に何を伝えたいの?」


乃里子の前に立っていた少女は、ゆっくりと目を伏せた。
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