放課後姫とヤンチャな騎士
ボスッ


ソファーに落ちる鈍い音がして、髪の乱れたカツラがソファーの中心で落ち着いている。


髪をまとめていたピンを外し、軽く頭を揺らす。


陽を浴びて輝きながら波打つ、美しいモカ色の髪が背中で揺れた。


眼鏡を机に置き、メイク落しでメイクを落とす。


一重だった目が二重になり、白く不健康そうな肌がほんのり桜色がかった赤みを取り戻し、重くバサバサだったまつげが綺麗なカールを取り戻した。


「乃里子の変身ぶりは、何度見てもすげーよなぁ…」


感嘆の声が聞こえ、窓からひょいっと入ってくる人の気配を感じた。


「…いつも言ってるでしょ?」


乃里子はゆっくりと椅子から立ち上がり、手近な新聞を掴んで思い切り振り上げた。


「入口はそこじゃない!
準備中は入室禁止!!」


スパーンッと小気味良い音が鳴り響いた。


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