放課後姫とヤンチャな騎士
「待って…」


冴の抵抗も虚しく、咲はぐっと冴を引き寄せると、乃里子達に背を向けた。


「ちょっと待ってください!」


乃里子の言葉に、咲は立ち止まり振り返った。


「ちょっと失礼じゃないですか?
呼び出しておいて、長田くんにひどい事を言う…
それに、咲さんは冴さんの気持ちさえ無視してませんか?」


乃里子が怒っている。


冷静を装っているが、乃里子がめちゃくちゃ怒っていると剛志には分かった。


「乃里子の言う通りよ…
咲さんは自分の気持ちばかりね。
冴さんの言葉を聞こうともしない。
それに、冴さんも冴さんよ?
何故自分の思いを口にしないの?」


放課後姫は淡々と、それでいて威圧感を感じる声で言った。
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