素直になれなくて
「…………。」
「…………。」
中学の制服を着たひかると
高校の制服を着たちひろ。
その二人が、こんなに静かに
並んで歩いている事は、
今までには、一度もなかった。
(今は、違う制服だけど
あと、少しで、同じ制服を着る事が
できるんだ…。)
ひかるは、そんな事を
思いながら、ちひろの整った顔を
見つめていた。
「何見つめてんの?」
ニヤッっと笑ったちひろが
不意にひかるに問いかけた。
「べっ別に見とれてないしッ!!」
見破られた事が恥ずかしくて、
「あ…頭に鳥の糞がついてんの!」
なんて嘘をついた。