【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
少し冷静になってみると、クリスマスイブに暇というのは淋しいことこの上ない。
それをあんな勢いで言ってしまったことに、後悔と羞恥心が更に込み上げてきて俯くしかなかった。
あまり人との交流が得意じゃない、むしろ苦手なあたしはやっとクラスのみんなに馴れてきた程度で。
クラスメイトに誘われたショッピングよりも、生徒会のみんなと生徒会室で他愛なく過ごしたいと思ってしまうんだ。
緊張しながらショッピングするくらいなら、少しの時間だけでもみんなといたいよ…たとえ、その他の時間がひとりぼっちになるとしても。
「よかったよ、ラビちゃんのクリスマスイブの予定が空いてて」
「なにか、お仕事ができたんですか?」
ニコニコといつも作り笑いを絶やさない湊先輩が本当に嬉しそうに笑っているから、思わずそう問えば“まさか、そんなワケないでしょ”という答えが返ってきた。
それならば、クリスマスイブに何があるんだろうか?
予想していたことがはずれた上に、珍しく嬉々としている湊先輩の姿にもはや疑問しか浮かんでこない。
「クリスマスイブに、何が…あるんですか?」
ニコニコしたまま何も教えてくれない湊先輩から聞くことは諦めて、湊先輩の隣で様子を傍観していた時雨くんにたずねる。
「クリスマスパーティーがあるんですよ、この学園で」
今まで黙っていた時雨くんが呟いた言葉は、あまりにも意外なもので。
「クリスマス、パーティー…?お仕事とかじゃ、ないんですか…?」
「…ねぇ、ラビちゃん。キミはそんなに仕事したいの?」
「ぁっ、そんなこと…ない、ですけど」
ニコニコしていた笑みを崩した湊先輩に、クスリと意地悪く言われて慌てて首を横にふり否定した。