【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
そういえば、那智くんはずっと会話にもまざらずにそっぽを向いて黙り込んでいた。
一言目に喋った言葉の声音も不機嫌さが滲み出ているようで、あたしに言われたわけじゃないのに身体がビクリと震える。
「あぁ、ふたりのことは気にしなくていいよ」
「あ、でも…」
そんなあたしに気付いてくれたらしい湊先輩が普段と変わらない悠長さでそう言ってくれるが、いざそう言われてみると気になる。
それに、放っておいてはいけない気がしてならない。
何があったのかは分からないけれど、ソラさんはともかく那智くんがあそこまで不機嫌さを露にしているのは珍しい。
そう思い言葉を濁せば、どこから取り出したのか湊先輩は飴玉を口に含みながらにやりと笑う。
「いいから、ね?」
「…………」
「あぁ…ラビは気にすんな」
“ね?”と、首を傾けながら言われ、否定も肯定もできずにキョロキョロと視線を彷徨わせていると、いつもより些か低い声が飛んできた。
それでもソラさんと話していたときよりは声音が柔らかくなっていて、無意識のうちに力が入っていた肩から力を抜いた。