【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
聖夜にひとつの贈り物を【黒狼蒼空】
煌びやかな星が宵闇を彩る聖夜。
どこか賑やかなパーティー会場の傍ら、温かな光に包まれた一室。
「ん…終わったから、もう目開けていいぞ」
瞼により閉めきられた視界に届いた声と共に、今まであたしの顔に優しく触れていた手が離れていく。
それに合わせてそっと瞼を上げていけば、まばゆい光と真剣な那智くんの顔が見えた。
「あ…ありがと、那智くん」
髪もアップにされ、暖房のきいた部屋の暖かい空気が無防備になった首筋を撫でる。
普段から化粧なんてしないものだから、鏡に映った自分を見ていると些か不思議な気分だ。
「ど、かな?」
那智くんの腕が凄いのは周知の事実だけど、いざ自分にされてみると不安になってくるのも事実で。
コスメセットやヘアアイロンなどを片付けし始めた那智くんを鏡越しに見つめながら、そう小さな声で尋ねる。
「ンだよ、俺の腕が信用できねぇか?」
「そんなこと…!」
「だったらそんな顔しないで、堂々としてろって。すげぇ綺麗になったから、な?」
「あ、ありがとう、那智くん!」
ぽんぽんと軽快に頭を撫でられ、優しくそう言われれば胸のつっかえが取れたかのように楽になる。
鏡に映る自分の表情が、幾分柔らかくなった気がした。
「あぁ、せっかくパーティーなんだ、笑ってたほうがいい」
「…うん!」
こくりとひとつ大きく頷けば、ふ、と那智くんが意地悪く笑んだ。
「それに、笑ってたほうがソラ先輩も喜ぶだろうし、な」
「……ッ!」