【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
那智くんが“ソラ先輩”の部分をわざとらしく強調して言うもんだから、すぐ顔に熱が集まるのが分かった。
こういう時、顔に出やすい性分が恨めしい。
「クッ、分かりやす」
「ッ、那智くん…!」
那智くんは喉の奥で押し殺すように、意地悪な笑みを称えたままぼそりと呟いた。
その言葉に素早く反応して那智くんの名前を呼べば、“わりぃ、わりぃ”と言いながらも更に笑う。
その表情からも“悪い”なんて思っていないことはおろか、むしろ楽しんでいることが窺い知れて、あたしはむぅ…と小さく唸った。
――――コンコン……
とそこへ、誰かが部屋の扉をノックする音が聞こえて、ふたり共そちらに視線を這わせる。
「…ねぇ、まだ終わらないの?」
「ッ…ソラ、さん?」
突然扉の向こうから今まで那智くんとの会話の渦中だった人の声が聞こえて、反射的にビクリと身体が跳ね上がる。
「あぁ、ソラ先輩か。もう終わってるから、ラビ連れてってもいいぜ」
「あっ、那智くん!」
いつの間にか片付けを終えていたらしい那智くんは、にやりとした笑みを残して扉から出ていってしまった。
「ラビ、入るよ…?」
それと入れ替わるようにして、半開きの扉からソラさんが姿を現した。