【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
目と鼻の先にソラさんの綺麗な顔があって、闇色の瞳にあたしの姿が映っているのが見える。
「ッ…ありがとう、ございます」
身体が密着し過ぎていることにソラさんとの瞳の近さから気付いて、そっと彼の胸を押す。
それなのに身体は離れるどころか、腰にまわされた戒めがそれを許してくれず更に密着して身動きがとれなくなってしまった。
「ソラ、さん…?…ッ、あの」
「…少し、黙って」
「ふぁ、っ…ソラさ、ん……やめ、ッ」
スルリと露出した肩をひんやりとした手に撫でられれば、意図せずとも声が洩れる。
諫めるように名前を呼ぼうとすれば、それはまるで甘えるかのような響きを含んだ声で。
部屋に響いた自分の声に羞恥心が沸き上がり、ソラさんの胸元に顔を埋めればふわりとソラさんの香りがした。
ふと緩んだ腰にまわされていたソラさんの腕。
「ソラさん…?」
「どうしたの?顔が赤いけど。あぁ、もしかして……」
赤みの残る顔をそっとソラさんの胸から離すと、意地悪な笑みを浮かべたソラさんと目があって。
「その気になっちゃった?」
端整な唇から紡がれた言葉に一瞬きょとんとしてしまう。
“その気”というのがどんな気であるのか分からないけれど、ただひとつ意地悪な微笑みと含みのある言い方で気付いたことがある。
つまり……
「からかわないでください…!」
そう、からかわれていたということ。
恥ずかしさを隠すようにソラさんの緩んだ腕から逃れるように身体を離すと、支えを失った身体が再びバランスを崩す。