【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
傾いた自身の身体を再びソラさんに支えられる。
「…さすがに学習した?」
「う…ごめんなさい」
恐る恐る上げた視線の先、少し不機嫌そうに眉根を寄せたソラさんにそう言われてしまえば返す言葉もない。
今度はソラさんからそっと身体を離し、八つ当たりするかのように辛うじてバランスをとっているかのような不安定な足元のヒールに視線を落とす。
この靴でパーティーに参加なんて出来るんだろうか、なんて疑問がふと頭をよぎる。
今更ムリだと言ってもどうしようもないが、こんな状況で人混みを歩くどころかダンスなど踊れる気がしない。
う〜ん…と唸っていると、差し出された手のひら。
「ソラさん…?」
「その靴じゃ歩きにくいでしょ?仕方ないから、エスコートしてあげるよ」
手のひらとソラさんの顔を交互に見やると、ソラさんは顔をフイっと背けてしまった。
微かに見えるソラさんの横顔が赤い気がするのは……気のせい、だろうか?
「ねぇ、早く手出しなよ」
ぼーっとソラさんの横顔を見ていたあたしの視界に映る些か赤みの残る、少しむすっとしたソラさんの顔。
「あ…ッお願い、します」
「それじゃ、行こうか」
慌てて自分の手をソラさんのそれに重ねると、ひんやりとした心地よい冷たさが心をほっと温めていった。