【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
――――ソラさんは格好いい
そんなこと、分かってたはずだ。
普段の制服姿を見ていても、スーツ姿を見たときは見惚れてしまうほど格好よかった。
だから……
「きゃ〜っ!かっこいい!」
「どこの学校ですか!?」
「名前ッ!名前教えてくださいッ!」
こうなる事も、予想出来たはずなのに。
ソラさんに群がる着飾った綺麗な女の子たち。
あたしはソラさんに手を引かれ、エスコートされながら、パーティーが行われる広間に入って。
女の子たちがソラさんを見つけた瞬間に会場全体がざわめき始め、次の瞬間には今の状況。
まるであたしの姿など目に入っていないかのような…いや、実際見えてなどいないのかもしれない。
恋は盲目。
これを【恋】と言っていいのか分からないけれど、似たようなもの、なのだろう。
人は、わりと簡単にまわりが見えなくなるものなのだから。
「ソラ、さん…」
みるみるうちに眉間に皺が寄り、不機嫌さが露になっていくソラさん。
そんなソラさんの様子に気付かない女の子たちは更に騒ぎたてるから、悪循環だ。
騒がしいのも人混みも嫌い、特定の人しかそばにいることを許さない。
その事を考えれば、ソラさんのそばに普通にいられるあたしはまだいいほうなのかもしれない。
少なくともここまであからさまに嫌そうな顔をされることは、ない…と思う。