【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
「きゃあッ!ちょっと、何するのよ!」
今まで愉悦の表情を浮かべ恍惚としていた女の子は、ソラさんに邪険に扱われたのが気に入らなかったようで金切り声を上げた。
あたしはそれをソラさんの腕の中で聞く。
先程までソラさんの胸元には背後で怒りを露にしている美少女がいたはずなのに今あたしが彼に抱き寄せられているということは、ソラさんは彼女を振り払ったか突き放したか。
どちらにせよ、好ましくない扱いを受けたのだろう、それなら激昂しているのも頷ける。
見たところどこかのお嬢様なのか、流麗な言葉遣いと出で立ち、高飛車ともとれる言葉から大事に育てられたことも窺えていたから。
「何するのは、こっちのセリフなんだけど」
至極冷静に、ただしこの上無い苛立ちを滲ませた声でそう言ったソラさん。
そこから彼の表情を理解するのなんて容易なことで、震える身体をソラさんの胸元にすり寄せる。
それは恐怖や畏怖ではなく、歓喜からくるもの。
どう見たってあたしよりも綺麗でスタイルもよくて、断然あたしよりもソラさんに釣り合っている、現在ソラさんと睨み合っているであろう美少女。
ソラさんが彼女の手を取らずに自分を選んでくれたことに、あたしを庇い立てしてくれていることに、期待が胸を埋め尽くし心躍る。
ソラさんを好きだという思いが、今にも溢れだしてしまいそうになる。