【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
散り散りになっていく人々に、ホッと胸を撫で下ろす。
こちらを見向きもせずに去っていった時雨くんは元々こうするつもりだったのだろう、あたし達と関わりのないように見せながら助けてくれたのだ。
後でちゃんとお礼を言わなければ、と思いながらソラさんにまわしていた腕をそっと身体を離した。
「おい、ソラ先輩!」
「那智…僕に何か用?」
「何か用、って…はぁ……」
時雨くん同様、突然どこからともなく現れた那智くんはソラさんの様子を見て、心底疲れたとでもいうようにため息を吐いた。
実際なぜだか那智くんの顔には、疲労の色が窺える。
「ソラ先輩に話、の前に、ラビ大丈夫か?随分絡まれてたみたいだけど」
「あ…うん、大丈夫。ソラさんが…庇って、くれたから」
自分が言った言葉で、先程の大胆な行動が脳内に甦り頬に熱が集まる。
ソラさんを止めるためだったためとは言え、往来で男子に抱きつくなど大胆不敵な行動をとってしまったのだ、恥ずかしくないはずかない。
さっきはソラさんを止めるのに必死だったから気にはならなかったけど、冷静になってみれば周りから向けられる視線がチクチクと痛くて随分いたたまれない。
「那智くん、ソラさんに話があるんだよね?…あたし、ちょっと飲み物飲んでくるね」
「あぁ、わりぃな」
那智くんは何かソラさんに話があって此処に来たのだろうから、なんて理由のせいにしてあたしはいたたまれない雰囲気から逃れた。