【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
嫉妬は果実のように甘く【龍沢湊】
なんでこんなことに、なったんだっけ?
ふとそんな言葉が頭をよぎって、そっと自身の隣へと視線を移す。
高級ホテルのように小綺麗な部屋のベッドですやすやと眠る僕の大事な女の子は、ほんのりと頬を染めたまま未だ起きる気配は無い。
涙の跡が残る頬をそっと指先で撫でると、思いのほか熱く柔らかい彼女の頬の感触が僕の指先を占めた。
「……ん」
「ラビちゃん、ごめんね」
僕の指先が熱っぽい彼女の頬には冷たかったからだろうか、小さく身じろぎしたラビに対して、僕の意図に反した言葉が零れ落ちた。
「ほんとに、ごめんね。泣かせるつもりなんて…なかったんだけど」
自業自得だと言うのに、僕の声に悲痛さが滲んでいた気がするけど、聞こえないふり。
ラビと同じくベッドに横になり、うつ伏せの格好で自分の腕を枕代わりにしていると、僕の視界に映る綺麗な横顔。
透き通るように白い陶器のような手触りの肌に艶のある黒髪、長い睫毛に縁取られた瞳は閉じられたまま。
まるで人形の如く綺麗な少女が生きていることを主張するのは、色づいた薄桃色の頬と薄く開かれた小さな唇から吐き出される吐息だけだ。
『湊、せんぱぃ…やだぁ』
ラビの横顔を眺めていると、先程のラビの拒絶の言葉と泣き顔が脳内にフラッシュバックして、どこにあるかも分からない心が抉られるような感覚に襲われた。
同時に蘇るのは、いらだたしくて忌々しいパーティーの光景。