【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
僕が異常なほど独占欲が強いことも世間一般で言うどSだか鬼畜だかに属することも、自分でも重々承知済み。
抑制するつもりはあるはずなんだけれど、それを上回る激情が僕を翻弄してやまないから。
いつもいつもやりすぎては、後悔に苛まれることの繰り返し。
まぁ、今はちょっと苛めすぎたかなぁとは思っても、後悔はしてないんだけど。
さっきのことも、ね?…――
「ミナトくんって言うんだぁ?すっごく、綺麗ね…」
あたし好きになっちゃいそう、なんて、わざわざ僕の耳元まで背伸びをして猫撫で声で言われれば顔を顰めたくもなる。
もしラビの可愛い声で誘惑ともとれるそんな台詞を言われた日には、嫌と言うほど愛でて啼かせてあげるのだけれど。
生憎、この場でその甘ったるい雰囲気を纏った言葉を口にしたのは、今晩初めて会った名も知らぬ女の子だ。
更に重ねて言うならば、僕は男馴れしている女の子は、好きじゃないを通り越して大嫌いの域に達している。
つまりは僕の目と鼻の先で妖笑を浮かべる彼女には、微塵も好意を寄せてはいない。
「君みたいに可愛い子に好きになってもらえるなんて、光栄なのかな?」
「もちろん、光栄でしょう?」
「さぁ、どうだろうねぇ…?」
それなのに、感情を笑顔の仮面で隠してまで思ってもいないことを口にしているのには、胸中に渦巻く単純で尚且つ複雑な感情のせいだった。