【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜

満月の晩、狗は少女と逃避行す







そんなふたりを見て、あたしは――――……






「……ッ!」


ズキリと胸が痛んだ。

原因不明の胸の痛みに、首をかしげながらもそっと胸の辺りを手で撫でる。

胸のずっと奥が疼くようなよく分からない感覚に、胸を撫でてみてもやっぱりなんとも無くて。


「ぁっ……」


ただ分かるのは、那智くんと綾ちゃんがふたりでいるのを見たときに胸が痛む、ということだけ。

すごく仲が良さそうで、綾ちゃんと話している那智くんの様子がどことなく楽しそうに見える。

付き合っているんだろうか、なんて疑問が頭をよぎった瞬間、胸中の痛みが激しくなった。




那智くんが誰と付き合っていても、誰かと仲良くしていたって、それは那智くんの自由。




自由だと……思っているのに。










――――イヤ…仲良くなんて、しないで










それでも胸の中で、わだかまり渦巻くこの黒い感情は……ナニ?






自分のことなのに、全然分からない……。

分からない、けど。






今でも那智くんに掴まれたままだった手首。

いつの間にかあたしは、那智くんの手を振り払っていた――――……


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