【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜
★クリスマスパーティー編★
「ねぇ、ラビちゃん。12月24日ってさ、ヒマかな?」
生徒会のみんなの、いつもと変わらず繰り広げられる会話。
もちろんソラさんは、あたしの隣で静かにコーヒーを飲んでいるだけで会話には参加していないけど。
その会話をぼんやりと聞いていると、自分の名を呼ぶ声が聞こえた気がして、あたしは伏せ気味だった顔を上げる。
案の定、あたしを見つめている複数の瞳。
意外なことに、その“あたしを見つめている瞳”の中にはソラさんも含まれていた。
「え、と…?」
ふと、自分が名前に反応しただけで、話の内容をぼんやりとしか聞いていなかったことを思い出す。
一番近くでであたしを見つめるソラさんを、首を傾げながら見上げる。
ソラさんは口付けていたコーヒーカップを唇から少し放して、自身の唇をペロリと舐めた。
「12月の24日、ラビはひま?」
「クリスマス、イブ…ですか?」
「うん。12月24日、クリスマスイブ」
12月24日といえばクリスマスイブ以外の何物でもないが、暇かどうかを聞かれたことで、思わず確認をとるかのように聞き返してしまった。
クリスマスイブは当然冬休み中で、しかも生徒会の活動自体も無いと聞いていた。
その期間中は寮生も帰省するため、基本的に冬休み中はひとりで過ごすことになりそうで淋しいような心地になったのを憶えている。
「ひま、です…!」
何か生徒会の仕事でもできたのだろうか、と。
それなら冬休み中もみんなに会えるかもしれないと、無意識に少し語気が強くなって。
クスリとソラさんが笑みを浮かべたのに気付いて、途端に羞恥で顔が熱くなった。