虹色
通勤・通学で賑わう電車の中。
「今日テストだぁ」 「マジあの人かっこいいよね~」
など色々な声が聞こえる。
私はそんな声を
さえぎるように
音楽を聴いていた。
高校生活なんて
楽しくない。
周りの目ばかり
気にして自分を
装ってるのが
何が楽しいんだろう
なんて思っていた。
人は誰だって
自分が大事。
自分さえ傷つかなければ
誰が傷ついてもいい。

15分乗ったところで
電車が止まる。
私は降りて、
いつも通っている
学校へと足を運ぶ。
毎日通う道。
距離はだいたい
0.5キロぐらいの
道のり。
少しゆるやかな
坂が続くだけ。
私が音楽を聞きながら
歩いていると
後ろから背中を叩かれた。
「沙恵、おはよ!」
後ろを振り替えると
笑顔の奈々がいた。
「あ、おはよう」
私は毎日同じ言葉を
言う。
「何度も何度も声かけてるのに沙恵聞こえてないんだもん」
奈々は少しふくれていたけれどまた笑顔になった。
奈々は弱音を吐かない。
ずっとニコニコしている。
「ごめんごめん、音楽聴いてた」
私は自然と笑う。
少し雑談すると
学校につく。
私たちは教室に入る。
「奈々、沙恵おはよう!」
同じクラスの子が
あいさつをする。
「おはよ」
私は笑顔で返す。
これが当たり前の毎日。
「沙恵さ、部活どう?」
私は野球部のマネージャーをしている。
「んー……毎日大変かなぁ。奈々は?」
奈々はバスケをしている。
高校1年生なのに
抜群に上手い。
「私も全然かな」
少し考えながら
言った。
奈々とは高校からの
友達。
信頼している
と言ったら
嘘になるけど
奈々のことは
好きだと思う。
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