教室バロック





「 …… クウヤくん、覚えてないかな


クリスマスにさ

今は、髪黒いけど
あの時は、金髪にしてた 」




―――― クリスマス…





前髪をあげ
眼を細め、笑った口元の端が
ツイ、とあがって、表情を変える




「 ――― あああ!! 」



「 どうも

あの時ね、のんびりルウに
ビリヤード教えてたんだけど

…外が五月蝿かったから
様子見にいったんだよね


――― ルウ これどう? 」




… ハルト

もしくは水谷が、
恐ろしい程上手い素描をしていて

オレ本人としか思えない体の絵から
横に斜線を幾つも伸ばして
そこには、数字が書かれて行く




「 そことそこ
そのまんまだと、ズレちゃうよ 」


『 ルウ 』は座ったまま
ゆっくり もぞう紙を指さす


「――― ルウ これでいい? 」


「 うん あと、ここがない 」



「 …何、やってるんですか? 」



「 ルウはね

絵から立体造るのが得意なんだ
頭の中でね

だから、
こういう飾りが付いてる時は
とても助かる

俺はパターン起こしやドレーピングして
服を作って行けばいい


―― ああ いいね これ


クウヤくん
上着脱いで、そこに立ってもらえる? 」



無表情な『 ルウ 』の手にはメジャー


ハルトさんは『 ありがと 』と笑い
差し出されたそれを受け取った





肌にほとんど触れる事なく
採寸され、『 いいよ 』と言われて
オレは腕を降ろした





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