教室バロック
ルウは
夏のビル風に、髪を煽られながら
ラムネ瓶に似た色の目を空に向けて
まるで昨日あった事の様に
その日を話し始めた
「 ゆき、降ってたの
クリスマスだから、
色々なライヴハウスでイベントがあって
おれ 新宿まで見に来てたんだ 」
「 … うん 」
「 帰りに ねこがしんでた
たまに駅前のごみ箱とかのとこにもいて
みたことある子だった 」
「 ――― うん 」
「 クウヤ ミツコちゃんちの犬
一緒に、埋めてあげたの? 」
「 ―― 埋めたよ 」
「 クウヤの方が泣いてたって
『十五歳だから、大往生だよな』って
ジジイみたいな事いってたって
ミツコちゃん、笑ってた 」
「 ……… 」
「 おっきい犬で
すごい時間かかって
クウヤが大きな穴、掘ってくれたって
だから、ねこを埋めてあげようって
二人でダンボール探して来たんだけど
新宿、土あるとこ少ないから
二人であるいて、学校にいったの 」
「 … 学校? 」